レベニューオペレーション(RevOps)は、CRO(チーフレベニューオフィサー)のGTM戦略実現のパートナーとして、経営の意思決定スピードや精度を向上させる組織機能であり方法論です。この記事では、RevOpsについて2回に分けて紹介します。
2023年以降、マーケティングオペレーション(MOps)に取り組む企業も徐々に国内で増えてくるにつれ、レベニューオペレーション(RevOps)への注目も高まってきています。日本社会では少子高齢化が急速に進み、昔ほど営業人材を潤沢に確保することは困難になる中で、生産性の高い組織作りのためのオペレーションモデルの構築は不可欠です。またそういった洗練された環境で働くことを求める優秀なレベニュー組織人材を確保するためにもこの取り組みは重要となっています。ここからは、前編後編と2回に分けてRevOpsの概要ついて紹介していきます。
レベニューオペレーション(Revenue Operations:略称RevOps)は、持続的なレベニュー成長を実現するためにレベニュー組織の協業プロセスを強化し、戦略や戦術面で生産 性向上を支援する方法論であり役割です。信頼できるデータにもとづいた一貫性のある活動をレベニュー組織が実践することによって、顧客の信頼を得てビジネス成長を加速させることができます。マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスといった売上を司る組織をレベニュー組織と呼びます。プロセス・データ・テクノロジーを統合管理することで、サイロ化を解消し、本質的な部門横断的な連携を実現します。レベニューイネーブルメントとは?でも紹介した通り、デジタルの活用が加速し顧客の購買行動はさらに複雑化する中で、さまざまな部門で情報を共有する重要性は高まり続けています。
RevOpsを構成する要素は大きく分けて4つあります。
いずれも前提としてはGTM戦略(Go-To-Market戦略)実現を支えるための要素であり、その戦略を意思決定するための支援も実施します。いずれも前提としてはGTM戦略(Go-To-Market戦略)実現を支えるための要素であり、その戦略を意思決定するための支援も実施します。レベニュー組織の各部門とは別にオペレーション機能を持つRevOpsがあることで、データを扱う側の意図や解釈に左右されず、経営判断にとって信頼性が担保された価値あるデータになるのです。
レベニュー・オペレーション(RevOps)は、効率的な規模拡大と成長を目指す企業にとって不可欠なものとなっています。ビジネスが拡大するにつれ、セールスプロセスやGTMの動きは以前よりも複雑化してきています。そこで、業務の合理化、生産性の向上、成長の促進を実現するRevOpsの出番となるわけです。ここからは、RevOpsが重要であるいくつかのポイントをお伝えします。
RevOpsは、カスタマージャーニー全体で何が課題で何が有効かといったインサイトを把握するためのデータインフラとアナリティクスを提供します。リードジェネレーション、セールスの生産性、コンバージョン、解約などの指標により、プロセスを最適化するためのデータドリブンな意思決定をサポートします。レベニュー組織は勘に頼るのではなく、データを活用して改善点を把握し効果的に活動可能になります。
管理業務を引き受け、セールスツールを構築し、CRMワークフローを合理化することで、セールスチームが営業活動に集中できるようにします。調査によると、セールス担当者は営業以外の活動に20%以上の時間を浪費しているとも言われています。RevOpsは、営業支援と自動化によってこの無駄を削減します。その結果、セールスチームは案件獲得のための戦略的な活動により多くの時間を割くことができるようになります。
価格最適化、リテンション改善、ファネル分析などの成長レバーを使用して、カスタマージャーニー全体の摩擦を体系的に取り除いていきます。例えば、サイト分析によって問い合わせまでの離脱ポイントを特定し、A/Bテストによってフローを改善します。これにより、ファネルの各段階におけるコンバージョン率が向上します。
KPIダッシュボード、レポーティングツール、計画と実績分析を確立し、主要指標を可視化しデータを提供します。チームはMRR/ARR、新規受注、商談受注までの速度(ベロシティ)、解約などに関するリアルタイムのデータにアクセスできるようになります。これにより、経営幹部だけでなく、現場レベルの意思決定にも有益な情報としてデータへのアクセスの民主化を実現します。
マーケティング、セールス、サービス、プロダクトの各チームを横断する広い視野を持ち、活動とレベニューへの影響の点と点を結びつけます。共通の目標とインセンティブを設定することで、機能横断的なレベニュー組織の連携を図ることができます。これにより、サイロ化を解消し、収益を拡大するための各機能の連携方法を改善します。
要するに、RevOpsは最新のデータドリブンの顧客中心の成長プログラムにとって必要不可欠です。RevOpsを活用する企業は、セールスの最適化、的確なターゲティング、ビジネス・インテリジェンスを通じて競争優位性を確保できるということです。
RevOpsはとセールスオペレーション(SalesOps)、マーケティングオペレーション(MOps)、カスタマーサクセスオペレーション(CSOps)から構成されます。SalesOpsとは重複する領域もある機能ですが、ここでは違いについて紹介します。
RevOpsはレベニューエンジンとファネル全体的な健全性に焦点を当てている一方で、SalesOpsはセールスチームの生産性を向上させ、セールスプロセスを最適化させることに焦点を当てています。
RevOpsは、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスにまたがる、より広い範囲をカバーする一方で、SalesOpsはその名の通り、セールス部門とセールスプロセスに限定されます。
RevOpsの目標は、テクノロジー、データ、プロセスを整合させ、レベニュー成長を加速させることであり、SalesOpsの目標は、セールスの生産性と効率を向上させることです。
RevOpsは、レベニュープロセス全体の改善ポイントの特定や、レベニューを予測するために、データ分析に大きく依存し、SalesOpsは、特にセールス指標の分析のためにデータを活用します。
RevOpsは、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった部門横断のプロセスに注目します。SalesOpsは主に営業部門内のプロセス最適化に関わります。
RevOpsは部門横断的なテクノロジーやソリューションの評価を実施し、SalesOpsは主にセールステックを中心に扱います。
RevOpsはハイレベルなレベニュー指標について報告し、SalesOpsはセールス実績やパイプラインを深く掘り下げていきます。
役割間で協力をしながら、RevOpsはより広い視野に立ってGTM戦略を調整し、SalesOpsは特にセールスチームの生産性を向上をサポートします。データ、アナリティクス、プロセスにおいては重複する部分もありますが、それぞれの役割の全体的な焦点と範囲の違いについて紹介しました。
ここからは、RevOpsの主な活動について紹介します。
データ、システム、プロセスを活用し、セールス、マーケティング、カスタマーサクセスの連携を図ることで、より早い成長と最大限の効率性を実現することに重点を置いています。
ここまで前編では、RevOpsとはなにかに始まり、重要性、SalesOpsとの違いや活動について紹介してきました。後編では、RevOpsが見ていく指標やシステム、組織の構築、適切な人材の素養や期待される効果について触れていきたいと思います。